平成28年度歯科医療従事者技術向上支援研修会の開催について(開催3/5)
概要
日時:平成29年3月5日(日)午前10時~午後1時
場所:沖縄県口腔保健医療センター 二階 大研修室
対象者:歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・その他歯科医療従事者
参加費:無料
演題:『実は、寝相で決まる歯並び~仰向け寝相が健康の決め手』
講師:aux歯科クリニック 院長 福岡 雅先生
申込締切:平成29年2月28日(火)
講演内容
「実は、寝相で決まる歯並び~仰向け寝相が健康の決め手」
(一社)愛知県歯科医師会・愛豊歯科医師会
福岡 雅(日進市aux歯科クリニック)
早世した畏友の矯正歯科医師・故木村鉄生先生(名古屋市瑞穂区桜山矯正歯科創立者)の勧めで演者がTrainer (当時はT4Kのみ)を使った不正咬合治療を始めた2001(平成13)年7月13日から15年半が過ぎ、患者さん累計数は1,750を超えました。Trainer使用により不正咬合はその種類を問わず他人に知られることもなく治癒へと向かいます。それは当初から現在までの一貫した感想です。Trainer使用により不正咬合の病因である口呼吸を含む低位舌(lowered tongue posture)が是正されて鼻呼吸確立や嚥下などの口腔機能が正常化することが治療の目的で、機能改善によって歯列咬合も改善し、またこれによって(のみ)術後の長期安定も保証されます。勿論第一小臼歯非抜去で安価、基本的には成長期のお子さまの治療方法のですが、最近は成人や「3期治療」(矯正歯科治療後の所謂後戻りの治療)の患者さんも出てきました。
しかし、効果の薄い患者さんは必ず出てきます。装置を使わないから治らないのは自業自得ですが、真面目に治療に勤しんでいるのに治らない、当初の不正咬合が正常咬合に至らずに別の名称の不正咬合に変化(transformation)、或いは顎関節症を発症する患者さんもおられたことが悩みの時期もありました。多くは「Trainerの限界」「Trainerの問題点」で片づけられて終わりです。
治らない原因理由のうち最大の要因が睡眠態癖(不適切寝相)だと気付いたのが2010(平成22)年3月4日です。この日は沖縄の女性歯科医師2名が拙院へ見物(「見学」になりませんので)に来られた「寝相記念日」となりました。うつ伏せ寝相では何をやっても無駄だとはTrainer開始から間もない2005(平成17)年8月24日に気付きましたが、下向きだけでなく横向き寝相もまた、不正咬合を発生させては増悪させ、治療に対しては治癒を妨げる重大因子だと分かりました。
それ以来寝相を念頭に常に思い浮かべながら患者さんを観察するようにしました。結局、「寝相なりの歯並び」であり、寝相の悪さは歯列咬合のみならず虫歯や歯周病にも、お口だけでなく全身や心身の健康にも悪影響があると考えるに至りました。辛うじてではなく楽々8020達成者は歯口清掃が良いだけではなく美しい歯列咬合をされており「上を向いて寝ていますよ。」という人が大半です。病気や病人のみをみる医師と違い、小児や不正咬合をのみをみる歯科の専門家とも違い、歯科において何の専門もないただの町の歯医者である演者は健康な高齢者を多数みることができて、このことはとても幸運だと思っています。小児から高齢者像を考えるより、望ましい高齢者像からあるべき成長期・成熟期の像を割り出すわけです。
MFT(myofunctional therapy)やTrainerをはじめとする口腔筋機能装置の重要性を否定するものではありませんが、それよりも寝相改善=仰向け寝相(睡眠時仰臥位・背臥位)確立の方が生物進化の流れから見ても遥かに根源的な問題と考えざるを得ません。その必要条件が鼻呼吸確立です。正しい行いは美形を作り、誤った悪い行いは醜形をつくります。どうしたら上を向いて寝る子に育てられ上を向いて寝る人になるか、誤謬の多い演者ではありますが、演者の成長とともに変遷してきた考え方をお聴きの上、ご一緒に考えて頂ければ幸いです。