概要

日時

平成29年2月26日(日)午前10時~午後1時

場所

一般社団法人 中部地区医師会 3階ホール
住所:北谷町字宮城1-584
TEL:098-936-8201

対象者

歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士・その他歯科医療従事者

参加費

無料

演題

『歯科診療室からオーラルフレイルを考える』

講師

日本歯科大学 教授 口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長 菊谷 武先生

申込締切

平成29年2月20日(月) ※厳守

講演内容

歯科診療室からオーラルフレイルを考える

日本歯科大学 教授
口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長 菊谷 武

 

本邦では長く取り組んできた8020運動も功を奏し、高齢者の現在歯数は増加を示し目標達成者は5割を超えるとの報告もある。しかし、依然口腔機能を低下した者の数は増え続けている。その増加は人口の高齢化に伴う身体機能障害、認知機能障害を有する者の増加と無縁ではない。
口腔機能は、咬合支持の存在だけでなく、口腔の運動機能にも大きな影響を受ける。舌の運動機能をはじめとする口腔機能は加齢により低下する。さらに、加齢と伴にその発症率を増加させる脳血管疾患の後遺症や神経変性疾患等によっても口腔機能は障害される。つまり、歯の喪失による咀嚼障害(器質性咀嚼障害)を有する者の数は、減じても口腔機能の低下による咀嚼障害(運動障害性咀嚼障害)を有する者は増加していると考える。
東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子氏が行った全国高齢者20年の追跡調査からわかった高齢者の自立度の変化パターン(男性)によると、約7割の高齢者が75歳を境に徐々に自立度を低下させ、10年ほどかけてほぼ全ての介助が必要となることが示されている。まさにフレイルという状態から要介護状態に至る課程を示していると言える。ここでみられる自立度の低下の原因となる身体機能の低下や認知機能の低下は、口腔機能の低下の原因にも結果にもなりうる。
この課程の中でも特に比較的早期にみられる口腔機能の低下は、より重症な摂食機能障害に対して回復可能な余地を大いに残す領域と考えられ、地域歯科診療所に通院期間中に起こる変化であるとも言える。よって、歯科診療所において早期からのそして合理的な介入が求められる。本講演では、「歯科診療室からオーラルフレイルを考える」と題し概念整理を試みたい。